2002 年 34 巻 5 号 p. 401-404
急性心筋梗塞後の左室自由壁破裂は重篤な合併症であり, しばしば致命的である. 今回, 我々はblow out型1例,oozing型3例の左室自由壁破裂計4例を経験し,外科的治療にて全例救命し得たので報告する.
Blow out型1例に対してはPCPSにより循環を維持し,手術室に搬送して通常の体外循環に移行し,梗塞心筋を切除してパッチ左室形成術を施行した.PCPSは急激な循環不全に対して極めて有効な補助手段であり,また,パッチ左室形成術は左室狭小化の防止により左室機能を温存し,出血のコントロールに有用であった.
Oozing型3例に対してはIABPおよび部分体外循環により循環補助を行いつつ,開胸心拍動下にオキシセルロース綿フィブリン糊被覆法を施行した.
左室自由壁破裂は早期診断早期治療が唯一の治療法であり,内科外科の連携が重要である.