心臓
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第14回臨床不整脈研究会 10年間に及んだ慢性心房細動が洞調律に回復した心室頻拍発作併発の1例
長田 満梅谷 健阿部 信川端 健一飯田 隆史河埜 功沢登 貴雄井尻 裕小森 貞嘉久木山 清貴
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2002 年 34 巻 Supplement4 号 p. 37-42

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抄録
症例は59歳,男性.1992年より拡張型心筋症,心房細動にてfollowされてきた.2001年9月,脳梗塞にて近医へ入院.その際に持続性心室頻拍(VT)が出現し,300Jの直流通電にて洞調律に復帰した.当科へ転院後の電気生理学的検査では40bpm以下の洞性徐脈を呈するものの洞結節機能に異常はなく,房室結節はWenckebach pointが120bpm,有効不応期が350msecであった.右室心尖部からの3連早期刺激にて,190bpm前後の右脚ブロック型,右軸偏位の非持続性VT(最大14秒)が誘発され,血圧は40台まで低下した.VTに対してアミオダロンの適応を考え,洞性徐脈に対してDDD pacemakerを植え込んだ後,同剤の投与を開始した.以後,lowerrate 60ppmの心房ペーシングにて良好な血行動態が維持され,心房細動,VTの出現もなく現在に至っている.10年間にも及んだ慢性心房細動が,併発したVTに対しての直流通電により洞調律に復帰し維持され,またVTに対しても有効な治療が行えた1例を報告する.
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