心臓
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研究会 第11回頻拍症カンファランス テーマ : 心臓性突然死の予知と予防 ICDによる心臓突然死の予知と予防はどこまで可能か
栗田 隆志里見 和浩鈴木 一隆
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2003 年 35 巻 11 号 p. 777-784

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抄録

1)ICDによる心臓突然死の一次予防効果
虚血性心疾患患者に対するICDの一時的予防効果を証明したMADIT-IとMADIT-IIの予後曲線を比較するとMADIT-Iにおける対照群の予後が際だって不良であることが解る,これは電気生理学的検査が患者の予後をある程度推察することを示し,我が国におけるICDの適応を考察する上で重要と考えられる.
我が国において一般健常者の0.1%に検出される無症候性Brugada症候群(B症)の突然死発生率は統計学的に高いとされているが,全例にICDを適応することは費用対効果度から考えてナンセンスである.現在のところ筆者らは,(1)突然死の家族歴,(2)典型的なCoved型ST上昇,(3)電気生理学的検査でのVF誘発のうち2つ以上を満たしたものをICDの適用としているが,VFの発生率は有症候性に比して,リスク評価はいまだ不十分である.
2)ICDによるVF発生の予知
ICDに保存された治療履歴を用いてB症におけるVF発生に先行する心電現象について検討した.VFの多くは夜間睡眠中に多発し,ある特定の期外収縮から発生していた.また,RR間隔の心拍変動解析では,発作前に迷走神経の緊張度が亢進していることが示されたが,その動的変化については一定の傾向が見られなかった.B症ではある特定の心電現象を的確に捉えることによりVFが予知できる可能性がある.

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