心臓
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研究会 第11回頻拍症カンファランス テーマ : 心臓性突然死の予知と予防 院外心停止救命の鍵:AED
三田村 秀雄
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キーワード: 突然死, 心室細動, 除細動
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2003 年 35 巻 11 号 p. 785-790

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抄録

日本では,毎日100人以上が心臓突然死で死亡している.その多くが心室細動によるが,この不整脈は数分以内に除細動しなければ絶対に助からない.しかし現場に除細動器は無く,医師や救急救命士もいない.救急車の到着を待ってからの除細動では,ほとんどの場合,心停止後10分を過ぎており,すでに心室細動は心静止に移行し,除細動の適応ではなくなっていることが多い.その結果,100人中3人しか助からないのが日本の実状である.
AEDは素人でも扱える音声ガイド付きの自動除細動器である.この器械をいろいろな場所に予め配備し,それを緊急時に現場にいる市民が使って除細動を行えば,救命できる可能性が飛躍的に高まる.実際,AEDを使った素人による救命が欧米ではすでに成果をあげており,3分以内に除細動を行えば4人に3人が救命できることが証明されている.今やこのアプローチは世界のスタンダードになっている.
現在のところ日本では航空機の客室乗務員による使用が許されているのみで,地上では今だ救急救命士に頼っているのが現状である.日本でもこのAEDの全国的な配備と,一般市民が使用できる環境の整備,確立が急務である.

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