心臓
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第17回 心臓性急死研究会 心房細動rate control目的のβ遮断薬で誘発されたと考えられた心室細動に至った冠攣縮性狭心症の1例
宮永 哲小山 達也岩野 圭二久保田 健之香山 洋介久能 守今本 諭武田 聡横溝 絵里子佐藤 周山崎 辰男関 晋吾望月 正武
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2005 年 37 巻 Supplement3 号 p. 102-106

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抄録
症例は56歳,男性.2週間前から連日,夜3時ころに胸部不快で目覚めるようになり,日中にも同様の胸部症状が出現したため救急外来を受診した.来院時の心電図は頻脈性心房細動(心拍数130/分)であり,rate control目的でビソプロロールが処方された.同日夕方内服後に胸部不快が出現し,意識消失,痙攣に至ったため近医へ救急搬送となった.頭部CT,神経学的所見上異常なく,当院へ転院搬送中より胸部不快が再発し,搬入時には心房細動,完全房室ブロック,II,III,aVFの著明なST上昇を認めた.処置中に心室細動へ移行したため,電気的除細動を行い除細動に成功し,ST変化は基線へと復した.
連日の胸部不快は狭心症発作であり,新たに投与されたβ遮断薬で右冠動脈のspasmが誘発され完全房室ブロック,心室細動に至ったと考え,硝酸薬,カルシウム拮抗薬での加療を開始し,以後症状は出現しなかった. 後日行った冠動脈造影では器質的な有意狭窄を認めなかった.心室細動の既往があるためアセチルコリン負荷は行わなかったが,BMIPP心筋シンチで下壁に著明な取込み低下があり,右冠動脈領域の一過性の高度虚血が示唆され,Spasmに一致する所見と考えた.β遮断薬がspasmを誘発する可能性があることを改めて認識させられた1例を経験した.β遮断薬をrate controlや降圧目的で投与する際には,冠攣縮性の狭心症状がないことを確認するべきである.
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© 公益財団法人 日本心臓財団
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