心臓
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第17回 心臓性急死研究会 副交感神経の過剰反応が特発性心室細動によるelectrical stormの発現に関与し,心臓性急死に至った若年例
阿部 敦子池田 隆徳中村 健太郎柚須 悟信太 研二宮山 和彦楠田 哲加地 英生四倉 正之吉野 秀朗
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2005 年 37 巻 Supplement3 号 p. 107-114

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抄録

症例は28歳,男性.生来健康で既往症はなし.疲労・不眠が続いていた週の朝,起床後に意識消失に至る,救急隊到着時の心電図で心室細動が記録され,電気的除細動後に当院へ搬送された.下壁・左側壁誘導で小さなJ波が認められたが,明らかな心電図異常は認められなかった.心拍変動解析では副交感神経活動が早朝で著しく亢進していた.冠動脈造影検査では異常はなく,アセチルコリン負荷が試みられた.右冠動脈内に初回量を投与した直後,ST-T変化を伴うことなく突然に房室ブロックが誘発され,引き続いて心室細動がelectrical stormのごとく発現した.電気的除細動が頻回に行われたが,反復性に出現し,発症35分後にようやく正常洞調律を維持した.10日後に植込み型除細動器の挿入を予定したが,その当日の早朝(睡眠中),再びelectrical stormをきたし,頻回の電気的除細動に反応することなく院内急死に至った.剖検では,心臓に器質的異常は認められなかった.副交感神経活動亢進に対する過剰反応として,心室細動によるelectricalstormを生じ,急死に至ったと考えられた.

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