心臓
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第17回臨床不整脈研究会 Vasospastic anginaに伴う心室細動と考えられた1小児例
長谷川 真紀谷口 和夫住友 直方平野 幹人阿部 修宮下 理夫鮎沢 衛唐澤 賢祐岡田 知雄原田 研介榎本 光信大場 富哉佐々木 亮小関 一英
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2005 年 37 巻 Supplement4 号 p. 170-174

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抄録

13歳,男児.マラソン中に意識を消失し,救急車内で心室細動を認めたため除細動後,前医に搬送された.低体温療法を行い神経学的後遺症を残さず回復した.運動負荷試験でSTの低下を認めたため,冠動脈造影を行ったが,有意狭窄は認めなかった.Ach負荷で両側の冠動脈攣縮が誘発された.当院転院後の心エコーでは心尖部心筋の軽度肥大,左室乳頭筋の肥大,組織ドプラ法で心尖部の穿通枝内の乱流パターンなど心筋症を疑わせる所見を認めた.99mTc-Tetrofosmin心筋SPECTでは明らかな虚血所見は認めなかった.Ca拮抗薬の投与下で電気生理学的検査を施行し,右室心尖部と流出路から3発までの期外刺激を加えたが心室細動は誘発されなかった.Brugada症候群を疑いpilsicainide負荷を行ったが,ST変化はみられなかった.心室細動は運動などによる虚血性変化によって引き起こされたことが考えられ,小児では極めてまれな病態であると考えられた.

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