2006 年 38 巻 Supplement1 号 p. 11-14
目的:われわれは心筋梗塞患者のQRS波に内在する時間-周波数信号をwavelet変換により記録する方法を検討してきた.この研究は,Q波ならびに非Q波梗塞の時間-周波数出現様式の比較とwavelet信号の積分加算法について報告する.方法:正常(n=12)ならびに心筋梗塞患者(n=12)の心電図をfilter offの条件にて記録,CSVファイルとしてPCへ保存後,解析ソフト(BIOMAS ver 1.0)を用いてwavelet分析を行った.0~300Hzの周波数域を 40 スケールに分割, Q R S 区間内の時間- 周波数パワーを測定した.時間-周波数パワーの積分値を求め,心拍加算を行った.結果・考察:1)心筋梗塞例では,コントロールに比べて50-100Hzの積分値の低下ならびに150-200Hzのパワー積分値の増加を認めた.2)Q波梗塞では,200Hz以上のパワー積分値増加例を認めた.3)高周波はQ波梗塞ではQRS申期に,非Q波梗塞ではQRS初期に出現した.以上より,wavelet法により測定された異常信号は病態に応じた分析法を考慮する必要がある.