2006 年 38 巻 Supplement1 号 p. 34-42
背景:心房細動(Af)に対するカテーテル・アブレーション(CA)の成功率は 70-80%に留まる. AfのCAの効果を予測する非侵襲的な方法に関する報告は少ない.目的:P波加算心電図(P-SAE)を用い, CA後の再発の予測を行った. 方法: CAを施行したAf患者28人(23人男性,年齢:58.4±10.7)に, CA前後の12誘導P-SAEを記録し, filtered P wave duration(FPD), RMS20ms(LP20), FPD dispersion(FPDd)を計測した. 結果:平均6.4カ月の観察期間で,17人が洞調律を維持し(SR),11人がAf再発した(R). CA前後のFPDは, 有意にSRがRより短縮しており(前145.0±10.8msec対 162.7±10.1msec/ 後132.4±7.9msec対 158.2±13.3msec, p<0.001),短縮の程度もSRが,有意に大きかった(13.6±8.4msec対 5.6±6.6msec,p<0.05). CA前後のFPDdも,有意にSRがRより短縮していたが, LP20には両群で差がなかった. 結語 :CA後の FPDと FPD短縮の程度は, Af患者の悪発の予測に有用と考えられた.