2007 年 39 巻 10 号 p. 889-894
血栓塞栓による急性心筋梗塞症(coronary embolism;CE)は稀な疾患であり,治療に難渋することが多い.今回2000年3月~2005年4月までの間にCEが原因と考えられた急性心筋梗塞(acute myocardial infarction;AMI)症例連続19症例24病変に対して血栓吸引せずバルーンまたはステントによる再灌流を選択した症例と,各種血栓吸引カテーテルによる前処置を選択した症例について治療効果を比較し,血栓吸引療法の効果を検証した.
結果:患者背景として全例に心房細動を合併していた(発作性73.7%,慢性26.3%).ThrombusterTMは78.6%の症例で,5Fr ST01は3例全例で塞栓子が吸引されTIMI 3を獲得できた.これに対してPOBAまたはステント施行例では28.6%のみに止まり,RescueTMは全例TIMI3を獲得できなかった.血栓吸引に伴う合併症は認めなかった.
結語:CEに対する血栓吸引療法は機械的血栓破砕療法に比較し有効な治療手段となり得る.さらに内断面積のより大きなカーテルを使用することで,その臨床効果を向上させ得ると考えられる.