心臓
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HEART's Original [症例] 偽性偽性副甲状腺機能低下症に発症した高度な冠動脈石灰化を伴う急性心筋梗塞の1例
松本 真小谷 英太郎時田 祐吉中込 明裕草間 芳樹新 博次
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2007 年 39 巻 10 号 p. 918-924

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抄録

症例は62歳,男性.幼少時に精神発育遅滞と診断され施設に入所中.家族歴特記すべきことなし,冠危険因子なし.全身倦怠感,顔面および下肢浮腫,労作時呼吸困難を主訴に当科受診.来院時心電図にてI,II,aVF,V2~6誘導のST下降,心筋逸脱酵素の上昇(CK613,CK-MB93IU/L)を認め,非ST上昇型急性心筋梗塞と診断.入院時Hb6.49/dLの高度貧血を認め,濃厚赤血球輸血を行い,症状,心電図所見は改善した.上部,下部消化管に出血病変がないことを確認後,冠動脈造影施行.右冠動脈(#2)に90%狭窄を認め,待機的に薬剤溶出性ステント(Cypher2.5mm/23mm)を留置した.その際,病変部の冠動脈内超音波検査で高度の石灰化(VirtualHistologyでプラーク面積32%)を認めた.本例は精神発育遅滞に加えAlbright遺伝性骨異栄養症にみられる低身長,特徴的な中手骨,中足骨の短縮を認めたことより,偽性副甲状腺機能低下症を疑いEllsworth-Howard試験を施行.負荷前の血中PTH,P,Ca値正常,リン排泄量増加,cAMP増加反応より偽性偽性副甲状腺機能低下症と診断した.本症のCa代謝異常にもとづく異常石灰化合併例は報告されているが,虚血性心疾患合併例の報告はなく稀と考えられた.本例で冠危険因子が存在しないにもかかわらず認められた高度の冠動脈石灰化には,偽性偽性副甲状腺機能低下症が関与していると考えられた.

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