心臓
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第15回頻拍症カンファランス 心筋梗塞への再生医療の現状と展望
木下 英吾浦岡 真季中村 英夫西澤 信也松原 弘明
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2007 年 39 巻 11 号 p. 1023-1027

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抄録

心筋梗塞への再生医療として末梢血単核球あるいは骨髄単核球を利用した血管新生治療が臨床応用されている.急性心筋梗塞(AMI)の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療後に骨髄単核球を冠動脈から注入する血管新生治療が欧米で2001年ころからスタートした.初期のオープンラベル臨床試験では半年後の心機能が10%前後と改善し世界申の注目をあびたが,最近の2重盲検試験では有意な改善が見られないとの報告もあり,適応症例の選択が必要になった.造血性サイトカイン(G-CSF)をAMI後に投与して,心機能を改善させる臨床試験も実施されている.一方,陳旧性心筋梗塞(OMI)への骨髄単核球の直接心筋移植は,有効例が多く報告され,開胸・カテーテルを利用した再生医療が期待されている.ヒト心筋からの多能性幹細胞も分離され低心機能の重症心筋梗塞への移植もまもなくである.心筋梗塞への再生医療の最新の臨床試験の成績を中心に述べ,将来展望についてもふれてみたい.

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