心臓
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第19回 心臓性急死研究会 急性心筋梗塞経過中に突然認めたelectrical stormに対して超短時間作用型β1遮断薬‘landiolol’が奏効した1 例
米良 尚晃池田 隆徳信太 研二三輪 陽介宮越 睦榊 桂阿部 敦子石黒 晴久塚田 雄大中村 健太郎柚須 悟吉野 秀朗
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2007 年 39 巻 Supplement3 号 p. 5-11

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抄録

急性心筋梗塞(AMI)の経過中に心室細動などによるelectrical stormを合併した場合,多くは治療抵抗性となるため,しばしば致命的な転帰をたどる.今回,AMI経過中に突然electrical stormをきたし,超短時間作用型β1遮断薬のlandiololが著効した症例を経験したので報告する. 症例は4 3 歳, 男性.AMIに心不全,肺炎を併発してCCU管理となった.入院第21病日の冠動脈造影検査で,左冠動脈主幹部の完全閉塞が認められた.血行動態の破綻が著しく,救命のため同部位に対して経皮的冠動脈形成術が施行された.その5日後に突然,electrical stormが出現した.抗不整脈薬の投与は,心電図でQTc時間が延長していたため行われなかった.気管内挿管下ではあったものの,交感神経緊張の関与が考えられたためlandiololを静注したところ, 速やかにelectrical stormは消失した.landiololはAMI経過中に発現するelectrical stormに対して考慮されるべき薬物といえる.

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