心臓
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第17回体表心臓微小電位研究会 実験的急性心不全におけるQRS周波数成分の変化と心機能との関連
松下 昌之助佐藤 雅人徳永 千穂榎本 佳治佐藤 藤夫平松 祐司榊原 謙
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2008 年 40 巻 Supplement1 号 p. 5-9

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抄録

開心術後の急性心不全では,QRSの周波数成分のうち高周波数成分が低下する.成人では40Hz,小児では80Hz以上の周波数帯を用いて心機能障害との関連が証明された.実験的急性心不全モデルを用いて,周波数領域を4つに分け,心不全時の血行動態と各周波数帯の変化を調べ,どの周波数帯が感受性が高いか調べた.ラットの摘出心に薬剤(4-AP)により一過性の急性心不全を引き起こし,その結果左室発生圧は有意に低下した(82±23→37±20mmHg:p<0.005).一方,QRS区間の各周波数帯のRMS電位は,1~20Hz,20~40Hzの周波数帯では心機能の低下の前後で有意な変化はみられなかったが,40~80Hz,および80Hz以上の周波数帯では,それぞれ4.1±2.0→1.6±1.4(p<0.01),3.0±1.2→0.3±0.4(p<0.0001)に有意に低下した(単位はmV2).4-AP終了15分後では,40~80Hz,および80Hz以上の周波数帯はそれぞれ3.8±2.2,3.1±1.3となり,ほぼ前値に戻った.40Hz以上の高周波数帯が心機能低下と連動した.最も心機能障害に感度が高かったRMS電位は,80Hz以上の高周波数帯であった.

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