心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第20回 心臓性急死研究会 腹腔鏡下大腸切除術中にたこつぼ型心筋症を発症し,心室細動を起こしたペースメーカ患者の1例
矢崎 義直五関 善成アブライテ・ アブラ荒田 宙森崎 倫彦石山 泰三山科 章
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 116-120

詳細
抄録

57歳,男性.下血精査の内視鏡で大腸癌を指摘され手術を予定した.以前より眩暈の訴えがあり,術前にHolter心電図を施行したところ5秒の洞停止を認めペースメーカ植込み術(DDD)を施行した.その後全身麻酔下で腹腔鏡下大腸切除術を施行.電気メス使用のためペースメーカの設定をDOOに変更した.腹腔鏡を挿入し気腹後にモニター上ST上昇を認め,R on T PVCから心室頻拍が誘発され,心室細動に移行した.直ちに電気的除細動を施行したが改善せず,計6回の除細動およびアミオダロン静注にて洞調律を維持しえた.心電図上依然ST上昇を認めたため心臓カテーテル検査を施行.冠動脈には有意狭窄はなく,左室造影でたこつぼ様の壁運動異常を認めた.IABPを挿入後,全身管理を行った.10日後の心臓超音波では壁運動はほぼ正常であった.今回,腹腔鏡手術中に心室細動を起こし,たこつぼ型心筋症を発症した1例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top