2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 115
症例は17歳,男性.2007年2月8日運動中突然意識を失い卒倒した.救急隊現着時モニターで心室細動を認め電気的除細動施行,自己心拍が再開し当院救急搬送された.来院時胸部X線では心拡大,心エコーでは非対称性中隔肥厚を認め,流出路圧較差を認めず非閉塞性肥大型心筋症と診断した.意識障害は遷延しており人工呼吸管理と低体温療法を開始した.その後心室性不整脈を認めず意識レベルも徐々に回復した.3月9日冠動脈造影およびアセチルコリン負荷テストを施行したが異常を認めず,電気生理学的検査ではβ遮断薬とアミオダロンの内服下で非持続性心室頻拍を認めるのみだった.若年発症で著明な心肥大が見られることから突然死2次予防の必要性が高いと思われた.植込み型除細動器(ICD)の適応と考え,3月19日ICDの植え込みを施行した.その後外来にて運動負荷試験を施行をしたが不整脈の発生は見られず,慎重に経過観察中である.