心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第20回 心臓性急死研究会 運動中に心肺停止をきたし低体温療法を導入し救命しえた若年発症の肥大型心筋症の1例
澤田 三紀大友 建一郎中村 知史高山 啓大坂 友美子大西 健太郎栗原 顕小野 裕一清水 茂雄磯部 光章
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 115

詳細
抄録

症例は17歳,男性.2007年2月8日運動中突然意識を失い卒倒した.救急隊現着時モニターで心室細動を認め電気的除細動施行,自己心拍が再開し当院救急搬送された.来院時胸部X線では心拡大,心エコーでは非対称性中隔肥厚を認め,流出路圧較差を認めず非閉塞性肥大型心筋症と診断した.意識障害は遷延しており人工呼吸管理と低体温療法を開始した.その後心室性不整脈を認めず意識レベルも徐々に回復した.3月9日冠動脈造影およびアセチルコリン負荷テストを施行したが異常を認めず,電気生理学的検査ではβ遮断薬とアミオダロンの内服下で非持続性心室頻拍を認めるのみだった.若年発症で著明な心肥大が見られることから突然死2次予防の必要性が高いと思われた.植込み型除細動器(ICD)の適応と考え,3月19日ICDの植え込みを施行した.その後外来にて運動負荷試験を施行をしたが不整脈の発生は見られず,慎重に経過観察中である.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top