心臓
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第20回 心臓性急死研究会 心臓突然死の臨床病理学的検討心室細動の病理所見- -
加藤 林也北川 喜巳岩田 充永深津 俊明佐竹 立成氏平 伸子
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 29-34

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抄録

目的:心臓突然死(SCD)例を剖検し心筋の収縮帯および収縮帯壊死と好酸性変化の意義について検討し,あわせて急性心筋梗塞例における突然死の機序を検討したので報告する.
対象・方法:病理解剖を施行した院外心肺停止患者224例のうち,SCDと診断された125例(男女比は95:30,年齢は60.3±14.8歳)を対象とし,剖検時の肉眼的所見(心筋破裂などの解剖学的破綻や冠動脈狭窄の有無)とホルマリン固定後の切り出し標本より心筋断裂,収縮帯(壊死),好酸性変化について検討した,
結果:病理所見により急性心筋梗塞24例(AMI群),陳旧心筋梗塞24例(OMI),原因不明77例(SCD群)に分類した.AMI群では24例中16例(66.7%)に左室自由壁の破裂または心室中隔穿孔を認めたが,心筋の断裂は認めず収縮帯(壊死)は7例(29.1%)に認めたのみであった.OMI群とSCD群には心室破裂は認めず,両群の全例で収縮帯(壊死)と心内膜を除く心筋の好酸性変化を認めた.OMI群では心筋断裂や収縮帯壊死は2例のみに認められ,SCD群では心筋断裂は28例(36.4%),収縮帯壊死は13例(16.9%)に認めた.
結語:AMI例での突然死は解剖学的破綻によるものであり,OMI例や冠動脈に異常所見のない例では心室細動によるものと考えられた.好酸性変化や心筋断裂・収縮帯(壊死)は心室細動の病理所見と考えられた.

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