心臓
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第20回 心臓性急死研究会 頻回な心室細動発作が硫酸キニジンの増量により消失したBrugada症候群の1例
林 達哉佐々木 毅蜂谷 仁樋口 晃司古川 俊行平尾 見三磯部 光章
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 35-41

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抄録

症例は57歳,男性.夜間5分間の痙攣を伴う意識消失を認め,救急車内で心室細動(VF)に対し電気的除細動を施行された.心電図上右側胸部誘導でcoved型のST上昇を認め,Brugada症候群と診断し植込み型除細動器(ICD)植え込みを実施した.その後もVF発作を繰り返し,ICDの適切作動を認めたため,硫酸キニジン(キニジン)600mg/日とシロスタゾール100mg/日の併用薬物治療を開始し,以後VF発作を認めなかったが,キニジンを300mg/日へ減量したところ,4週間で6回のICD作動を認めたため,キニジンを600mgへ増量した.以後VFの再発はなく,ICDの記録でも心室性頻脈は認めていない.頻回なVF発作が出現するBrugada症候群に対しては,Ito遮断作用のあるキニジンが選択薬の一つとして考慮されるが,使用に際してはその用量依存性効果についての認識が必要と考えられた.

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