心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第20回 心臓性急死研究会 QT延長と左冠動脈起始異常が併存した心室細動からの蘇生例
坂部 茂俊笠井 篤信後藤 至安冨 眞史角田 健太郎山中 崇大西 孝宏説田 守道
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 65-70

詳細
抄録

QT時間の延長と冠動脈起始異常が併在した心室細動(VF)からの蘇生例を報告する.患者は13歳,女子,既往歴に特記すべきものなく中学入学時の心電図でも異常は指摘されなかった.突然死の家族歴なし.2006年12月某日,バスケットボールの練習後に,突然意識消失を伴う痙攣が出現した.すぐに教員が心肺停止を確認,蘇生を開始し,救急隊によりVFを除細動された.蘇生直後から5日目まで著明なQT時間の延長(QTc 540msec)を認めた.QT時間は安静時には正常範囲内にあったが,エピネフリン負荷,運動負荷で容易に延長した.蘇生時,運動負荷時とも心エコー,心電図で虚血所見はなかったが冠動脈CTで左冠動脈が右冠動脈洞から発生していることが判明した.植込み型除細動器(ICD)植え込み,冠動脈バイパス術をいかに選択するか検討を加えたが蘇生時,運動負荷時に虚血がないこと,エピネフリン負荷時に著しいQT時間の延長が確認されたことからICDの植え込みを選択した.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top