心臓
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第20回 心臓性急死研究会 蘇生後の心電図では正常心電図波形を示した特発性QT延長症候群の1例
吉賀 康裕清水 昭彦上山 剛沢 映良鈴木 慎介杉 直樹大宮 俊秀大野 誠吉田 雅昭松崎 益徳
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 60-64

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抄録

症例は25歳,女性.突然死の家族歴はない.幼少より労作時の失神歴がある.2006年7月運動中に心室細動(VF)となり自動体外式除細動器(AED)にて除細動され当院へ緊急搬送された.心電図上QTcは0.43秒で,T波の異常や前胸部誘導の上昇等はなかった.器質的心疾患はなく,運動負荷・ピルジカイニド負荷・TWA・遅延電位のいずれも陰性であった.心室頻拍誘発試験では無投薬およびプロプラノロール投与下ではVFは誘発不能であったが,イソプロテレノール投与下の右室心尖部からの2連期外刺激にてVFが誘発された.エピネフリン投与下では0.1γ でQTcはO.52秒へと延長し,0.4γ でshortlong-short sequenceでQTの著明な延長とともにVFが誘発された.本症例はVFの出現様式からLQTlと診断した.LQT1の診断にカテコラミン負荷が有用であり,交感神経の活性化がVFの基質に強く関与していることが示唆された.

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