心臓
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第20回 心臓性急死研究会 重度なelectrical stormにより植込み型除細動器(ICD)電池が交換指標(ERI)段階を経ず消耗し、心室頻拍に対し治療が行われなかった拡張型心筋症の1例
古嶋 博司池主 雅臣小村 悟飯嶋 賢一岡田 慎輔保坂 幸男相澤 義房
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 86-90

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抄録

症例は76歳,男性.大酒家.拡張型心筋症(DCM)による低心機能(左室駆出率:34%)と失神を伴う非持続性心室頻拍を有することより植込み型除細動器(ICD)治療が施行された(Micro Jewel II).飲酒が誘引による心不全のため心室頻拍(VT)が生じ,2回にわたり10回/時間以上の重度のICD頻回作動(severe electrical storm;ES)となった.3回目のES時,ICD電池が急速に消耗し電池電圧は寿命末期(end of life;EOL)となっており,VTに対してICD治療がされていなかった,本症例の電池電圧は,2回のsevere ES後,3回目のES直前のICDチェックにおいてもelective replacement indication(ERI)に達していずプラトー期であり,ERI時期を経ずEOLとなった.本症例のような事例は以前に報告がなく,重篤なESの既往を持つ症例におけるICD交換時期について十分考慮する必要があると思われた.

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