心臓
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第20回 臨床不整脈研究会 心室頻回刺激後に一過性のQTU延長を来す特発性心室細動例
常田 孝幸藤木 明坂本 有西田 邦洋阪部 優夫菅生 昌高水牧 功一井上 博
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2008 年 40 巻 Supplement4 号 p. 101-106

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抄録

特発性心室細動は近年徐々に病態が解明されつつあるが,いまだ不明なことも多い.心室頻回刺激後に一過性のQTU延長を来す心停止からの蘇生例を経験したので報告する.症例は突然死の家族歴のない13歳男性で,走った後の休息時に失神し近医に搬送,心室細動(VF)であった.除細動され低体温療法を施行したが低酸素脳症を合併した.症例の特徴は(1)運動後の発症,(2)明らかなQT時間延長や短縮を認めず,(3)pilsicainide負荷陰性,(4)epinephrine負荷とtreadmill負荷試験で明らかなQT延長を認めず,(5)心室遅延電位陰性,(6)電解質異常や薬剤服用歴がない,(7)心室頻回刺激後や心室期外収縮後のlong RRに続く1拍のみQTU時間が延長し,この変化がmexiletineの投与で軽減することである.その後,植込み型除細動器(ICD)装着後,bisoprolol内服下にVF再発したが,発症直前に毎分120回の頻脈に続く心室期外収縮二段脈を認めた.現在,bisoprololとmexiletine内服にて経過観察中であるが再発は認めない.

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