心臓
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症例 Supravalvular tricuspid stenosis を呈する静脈洞弁遺残異常の1治験例
中埜 粛川島 康生宮本 巍団野 迪昭加藤 正明曲直部 寿夫佐藤 健司
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キーワード: 静脈洞弁遺残異常
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1974 年 6 巻 5 号 p. 706-713

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抄録
Supravalvular tricuspid stenosisを呈した Persistent sinus venosus valveの,きわめてめずらしい1例を経験したので報告する.症例は7歳の女児で,軽度のcyanosisおよび頸部静脈怒張を認める.心カテーテル検査にてIargeASD+VSDと診断されたが,右室造影における右室の形態およびECG所見より先天性三尖弁狭窄症の合併が疑われた.右房切開にて25*15mmの二次孔欠損を認めると同時に,三尖弁直上に異常隔壁が存在し,coronary sinus 開口部側に寄って eccentric に径6mmの交通孔を有していた.このmembraneの下には三尖弁が存在したが,全体的にhypopalasticで,異常隔壁を完全に切除したが,軽度の弁輪狭窄を残した.また右室も発育不全が認められた.VSDは径4mmの膜様部欠損であった.術後,右心不全症状が長く存在したが,現在元気に日常生活を送っている.以上の経験例をもとに文献的考察を加え静脈洞弁遺残異常の1つの型として,従来の分類に新しく追加したい.
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