1975 年 7 巻 14 号 p. 1672-1676
特発性心筋症で突然死した2剖検例の臨床経過および剖検所見を報告する.組織学的には症例1は, fibrosis typeであり,病例2は, hypertrophy typeで異なっていたが,倒れて突然死する過程はきわめて類似していた.
このことより,特発性心筋症における突然死の原因は,左室流出路狭窄のみでなく,予備能の低下した特発性心筋症では,軽度の心負荷で,左室のコンプライアンス低下,左室拡張弛期終圧上昇などの血行動態的変化が急激に起こり,心拍出を停止させるのではないかと推測した.一方,心室細動発作,洞停止などの不整脈の発生も,突然死に関与する可能性を示唆した.