心臓
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臨床 徐脈頻脈症候群電気生理学および病理組織学的検討
外山 淳治柵橋 淑文都築 実紀伊藤 昭男沢田 健伊藤 厚士安井 昭二
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1975 年 7 巻 2 号 p. 205-213

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抄録

対象は,徐脈頻脈症候群(「徐頻群」と略す)の8例と,同数の洞調律患者(正常群)である.右心房上部に刺激頻度60-180回/分,持続時間5-180秒間の種々のover drive刺激を与え,刺激停止後の心停止時間(自動能回復時間)の最高値を心臓自動能評価の指標とした.その値は,正常群では1.2±0.14秒で、「徐頻群」では5.4±1.7秒であった.His束心電図(右心房上部刺激,80回/分)では,正常群と「徐舞群」のP'(刺激)-A時間は51.4土12.8msecと10O.8±29.4msec;A-H時間は95.1±18、1msecと142.3±31.7msec;H-V時間は39.8±6.1msecと40.8±7.3msecであった.また,アトロピン投与(経静脈,0.04mg/kg)後も「徐頻群」の自動能回復時間.P'-A時間,A-H時間はともに正常に復さなかった.心内膜心筋生検法により,「徐頻群」の1例から得た心室筋と心房筋標本では,前者に比し後者にはるかに著しい変性像を認めた.したがって,洞結節,房室結節を含んだ心房のび慢性病変に基づく自動低下と房室伝導障害(特に心房内と房室結節内伝導の障害)が「徐頻群」の成立機構として重要であると考える.

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