心臓
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臨床 UCG,心音図,頸動脈波曲線による左室等容収縮期,等容拡張期の計測とその意義
梅田 徹尾本 良三古田 昭一町井 潔松田 光生山口 徹
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1975 年 7 巻 3 号 p. 325-330

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抄録

UCG,心音図,頸動脈波曲線の同時記録により左室等容収縮期(ICT),等容拡張期(IRT)を計測した.
対象は虚血性心疾患36例,僧帽弁狭窄症12例,対照群として成人健常者27例.
結果は,ICTは対照群42±11.2msec,IHD58士17.0 msec,MS13±15.9msec.IRTは対照群50±12.0msec,IHD86±22.6msec,MS 40±15.0msecで,IHDはICT,IRTとも,健常者に比し有意の延長,MSではICTの有意の短縮を認めた.IHDにおけるICT,IRTの延長は心筋の収縮力,弛緩速度の低下によると考えられる.
一方MSおよびIHDのうち左房圧の上昇が予想される症例ではICT,IRTの短縮傾向が認められ,左房圧が僧帽弁の開閉に影響を与える結果であると思われる.本法は従来の心尖拍動図,Dopplerによる方法に比し記録の容易さ,再現性の良いこと,弁の開放閉鎖の同定が容易なことなどから優れた方法であるといえる.

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