抄録
いわゆるDCRVは決してまれな疾患ではないが合併心奇形としてのVSDが高頻度であるために病像は修飾を受けやすく特異的な臨床像に乏しい.したがって,精密検査により右室内圧較差の証明および異常筋束群の描出が明瞭になされなけれぽならない.今回,自験11例についてその臨床像を解析し,文献的考察にて比較検討した.外科的治療は異常筋束群の切除術および合併心奇形の修復術が主となり,8症例に施された.
DCRVに関する病理組織学的報告は、剖検例を除いてはきわめて少ない.著者らはこれを手術時摘除による新鮮心筋標本について光顕的,電顕的に検索した.
光顕所見は空胞変性像を主とし多彩な所見を随伴するがいずれも非特異的なものである.しかるに,電顕所見では心筋変性像の内でもmitochondriaの集合,グリコーゲン穎粒の集積,Lysosomeのグループ様出現など,心筋症に類似の興味ある知見を得た.