心臓
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臨床 粘液変性による僧帽弁閉鎖不全症の外科治療
江口 昭治青木 英一郎寺島 雅範安藤 武士山崎 芳彦中村 千春浅野 献一田中 誠小林 稔
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1975 年 7 巻 9 号 p. 1043-1053

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抄録

粘液変性による僧帽弁閉鎖不全症(floppy valve syndrome)10例の外科治療を経験したが,本症の治療方針,手術治療に関して種々の問題点があった.
本症の経過に関して特に年少例では一度症状が発現すると一般に急速に悪化しうっ血性心不全となり内科的治療に反応しがたくなることで,かかる状態になる以前に早急に手術治療を考慮する必要がある.
手術術式については弁形成術,弁輪縫縮術は再発を来たし易く手術成績が不良なので弁置換術を施行すべきである.僧帽弁閉鎖不全による二次的三尖弁閉鎖不全のほかに三尖弁自体の粘液変性による弁不全の可能性もあり,三尖弁閉鎖不全の著しいときは三尖弁置換術も合併施行すべきである.
本症では弁輪が脆弱なためperiprosthetic leakを来たし易く,人工弁縫合法には特に注意を要する.

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