心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
解説 心室中隔
関 洲二大庭 治多胡 護広瀬 正典寺本 滋砂田 輝武
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 7 巻 9 号 p. 997-1006

詳細
抄録

心室は自由壁と心室中隔よりなることは衆知のことである.しかし心室機能について論じるとき,両者を区別して,とくに中隔の機能を別個に論じた論文はまれである.すなわち中隔は両心室の隔壁で,両者に容易に影響しうる部であるにもかかわらず,その機能について深く考察を加えた論文はほとんどない.著者らは正常犬の心で両心室の形態上の特徴を分析した.
左室は鉋弾型で径は急速に増大し,その後は一定となる.しかし中隔は心全外周が延長するにしたがい延長し,それだけ自由壁が短縮する.右室は三ヵ月状で自由壁および中隔は心全周の変化に似ている.さらに著者らの中隔置換実験では中隔機能はその収縮力よりも,両心室容量を正常範囲内に区隔することがより重要と結論され,僧帽弁の正常機能とも深く関係していることもわかった.
これらの実験結果を基として,他家の研究成果を加えながら,心室中隔の発生および機能などについて考察を加えた.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
次の記事
feedback
Top