心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
臨床 心不全に対する血管拡張療法
Isosorbide dinitrate,nitroglycerinの血行動態に及ぼす影響
三船 順一郎蔵本 築上田 慶二松下 哲桑島 巌坂井 誠池端 邦輔北野 幸英村上 元孝
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 8 巻 14 号 p. 1427-1432

詳細
抄録
心不全に対する血管拡張療法の臨床的評価を目的として肺動脈拡張期圧(PADP)14mmHg以上の心不全患者11例にisosorbidediritrate(ISD)5mg,nitroglycerin(TNG)0.3mgを舌下に投与し血行力学的効果を検討した.ISDでは投与後15分で最大効果に達しPADPは2e7%低下(20.4→150mmHg,P<0.05),平均血圧は130%低下(92→80mmHg,P<0.05)を示し,3時間まで血行力学的効果の持続傾向を認めた.TNGはISDと同様の作用を示したが持続は短く60分でほぼ効果が消失した.心係数はISD投与後,PADP20mmHg以上の重症心不全では不変(2.13→2.12L/min/M2)であったが,PADP20mmHg未満の軽症心不全では軽度減少(245→213L/min/M2)を示し,左室機能曲線は重症心不全で水平に左方に,軽症心不全で軽度左下方に推移した.以上より,ISDは重症心不全に対し心機能を低下させる事なく肺動脈拡張期圧を低下させる作用を示し,肺静脈うっ血の軽減に役立つと考えられ,また持続が長く経口投与が可能な事より心不全に対する長期間の血管拡張療法に適する.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top