1976 年 8 巻 2 号 p. 183-189
40歳の女性で鏡像型右心症および内臓逆位症に伴うFallot四徴症の根治手術に成功したので報告した,患者は2歳頃からチアノーゼ,露居があり,1,2年前より運動制限が増強したため来院.心電図,心音図,右心カテーテル,心血管造影などより,上記診断を行った.体外循環下に胸骨正中切開で入り,漏斗部狭窄の切除,弁性狭窄の切開,室上稜下部の心室中隔欠損(1.5×1.5cm)を閉鎖し,さらに右室流出路の形成を行った.鏡像型右心症に伴う心奇型は複雑なものもあるが,本症例のごとく手術可能なものも多い.先天性右心症に伴うFallot四徴症の本邦報告例について検討したが,本症例が最年長者であった.併せて年長者Fallot四徴症についても文献的考察を加えた.