心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
研究 左右短絡を有する実験的心室中隔欠損症における右室と肺動脈内の指示薬の攪拌状態
中井 正継
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 8 巻 4 号 p. 349-357

詳細
抄録
左右短絡を有する心室中隔欠損症において欠損を通り肺動脈に到る左右短絡流量fdのうち,1部右室を素通りし,1拍のうちに肺動脈へ流入する量fdpがある.7頭の犬に直径3.6mmから11mmの実験的心室中隔欠損を作製し,この肺動脈直行成分fdp/fdを循環時間分布の考え方を応用し算出した結果,その値は0.38から0.99と大量であった.このため肺動脈と右室内での指示薬濃度や希釈曲線には量的にも経時的にも差が無視できないことを定蚤的に検討したが,更にこの差は右室内に捕捉された指示薬の麗絆の不完全さのみで生ずるのではないこともわかる.
従って左右短絡量測定の際肺動脈での希釈曲線を右室のもので代用することはできないし,同時に右左短絡がありしかもfdp/fdが大量であるなら,右室から欠損を通り左室に向う血中指示薬濃度や希釈曲線は右室のものと同じであり肺動脈のもので代用することはできない.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top