抄録
チアノーゼ性心疾患児80例,非チアノーゼ性心疾患児20例の血液凝固能を測定した.チアノーゼ性心疾患児80例中34例に血液凝固学的異常を認めた.この34例の経験をもとに,チアノーゼ性心疾患と血液凝固異常の関連を検討した.
チアノーゼ性心疾患児に認められた血小板数減少は,高Ht血症,高Hb血症,赤血球増多を示す患児に多く認められた.しかし,PaO2,PaCO2,年齢との間には相関がなかった.また,PTの延長は,いつれの因子とも関連がなかったが,PTのみの延長を示した例は,34例中15例にも認められた.これら異常を示した34例のFDS,STTは,いずれも正常範囲内であった.