心臓
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臨床 動脈管依存型チアノーゼ性心疾患に対するプロスタグランディンE1投与の経験
上村 茂門間 和夫高尾 篤良
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1977 年 9 巻 1 号 p. 36-45

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抄録

動脈管の開存が生命の維持上必要な3例の新生児のチアノーゼ性先天性心疾患(心室中隔欠損を合併しない肺動脈弁狭窄症,完全大血管転換症,高度流繊路狭窄のあるファロー四徴症)に,動脈管を拡大維持する目的で,PGE1を0.1γ/kg/分の速度で点滴静注した.動脈管拡張の指標としては,PaO2の変化を使用し,その他ECG動脈圧,直腸温の持続測定を行った.
その結果,PaO1は平均8mmHg,酸素飽和度では平均14%の上昇を認め,その内2例にチアノーゼの改善が認められた.ただし,PGE1を手術直後に使用した肺動脈弁狭窄症の患児は,PGE1による血圧低下,出血傾向,腹水貯留を合併し,手術後3日目に死亡した.
したがって,PGE1の投与は新生児期の動脈管の拡張維持に有用であるが,動脈圧やECGなどの測定を行いその他の全身作用に注意して使用する必要がある.

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