心臓
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臨床 異型狭心症の臨床像
超小型携帯用心電計による観察を中心として
木村 栄一岸田 浩鈴木 謙吾久保田 一輝大津 文雄藤本 俊文金沢 正邦宗像 純司早川 弘一
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1977 年 9 巻 1 号 p. 46-52

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抄録
安静時におこった狭心症のうちST上昇を示すものを異型狭心症(VA),ST降下を示すものを安静狭心症(RA)とするに,VA38例,RA29例で,VAの方が多かった.これら症例の半数弱は超小型心電計により診断されたものであり,ことにVAでは1分未満の発作の83%、1~5分の発作の53%,RAでは5分未満の発作の89%が,本装置により診断されていた.かつ超小型心電計で診断されたVAの80%は発作…非反復型であった.このことは発作が短くかつ非反復性のものは超小型心電計を阿1いないと見落すおそれのあることを示す,VAの発作持続時間は5分未満が61%,RAでも41%を占め,従来いわれているより短かった.VAの40%は運動試験でST上昇を示した.VAの57.8%に発作時不整脈の発生がみられ,不整脈を伴うものほど発作持続が長かった.冠造影で異常なきVAは1例のみしかなかったが,一般的にみて予後は良好であった.
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