抄録
安静時におこった狭心症のうちST上昇を示すものを異型狭心症(VA),ST降下を示すものを安静狭心症(RA)とするに,VA38例,RA29例で,VAの方が多かった.これら症例の半数弱は超小型心電計により診断されたものであり,ことにVAでは1分未満の発作の83%、1~5分の発作の53%,RAでは5分未満の発作の89%が,本装置により診断されていた.かつ超小型心電計で診断されたVAの80%は発作…非反復型であった.このことは発作が短くかつ非反復性のものは超小型心電計を阿1いないと見落すおそれのあることを示す,VAの発作持続時間は5分未満が61%,RAでも41%を占め,従来いわれているより短かった.VAの40%は運動試験でST上昇を示した.VAの57.8%に発作時不整脈の発生がみられ,不整脈を伴うものほど発作持続が長かった.冠造影で異常なきVAは1例のみしかなかったが,一般的にみて予後は良好であった.