1977 年 9 巻 12 号 p. 1128-1135
最近われわれは24歳女性のIHSSの1症例に対して,異種生体弁による僧帽弁置換術を行った.左室大動脈圧較差は術前104mmHgであったが術後11mmHgと無視できうるまで低下し,LVEDPも著明に低下した.運動制限などの症状も改善し肺動脈領域に軽度の収縮期雑麿を残すのみで良好な結果を得た.
IHSSに対する手術は種々の術式が考案されているが,その中で僧帽弁置換術は(1)圧較差を確実に無くすことができる.(2)僧帽弁逆流を残さない.(3)A-Vブロックなどの致命的不整脈の危険が少ない.(4)心室中隔穿孔の危険がない.などの特徴を有し有用な方法であると考えられる.