1977 年 9 巻 3 号 p. 259-267
それぞれ発生部位の異なる3例の右心腫瘍のUCG所見を吟味し,診断にとって普遍的に有用な情報を抽出せんとした.これらは第1例が右室腔をほとんど占めた右室腫瘍,第2例が右室への嵌頓のない右房腫瘍,第3例が腸骨静脈に発生し大静脈を経て右房右室まで進展した腫瘍という症例であった。これらの症例のUCGを検討し,さらに吟味を加えた結果,右心腫瘍の超音波診断のためには次のような所見に注目すれば良いようである.睡瘍自体のエコーは線状,斑状,層状,袈状などの幡のあるエコーで,右心腔内あるいは右室壁そのものの肥厚の形で認められる.このエコーが心周期に応じて速かな運動を呈するか,ビーム方向や心周期によりその幅が大きく変化することが特徴的である.右房腫瘍の嵌頓例では,三尖弁エコーは矩型パターンを呈し,心室中隔は奇異性運動を呈す.