心臓
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臨床 UCGによる,虚血性心疾患におけるasynergy診断の検討
●陳旧性心筋梗塞を主な対象として
菱田 仁勅使河原 敬明大橋 進宮城 裕野村 雅則久田 澄夫水野 康外畑 厳
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1977 年 9 巻 8 号 p. 720-725

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抄録

陳旧性心筋梗塞29例,梗塞以外の虚血性心疾患U例につき,左室短径方向のUCGによりasynergyを検索した.心電図Q波の部位に基づく梗塞部位別にみると,心室中隔の動きは,前壁中隔梗塞,前壁心尖部ないし前壁側壁梗塞,前壁中隔兼下壁梗塞の各群で低下,下壁梗塞群,後壁梗塞例,梗塞以外の虚血性心疾患群では正常群に比し有意差はなかった.左室後壁の動きは,前壁中隔兼下壁梗塞群,後壁梗塞例で低下,他の群は正常群に比べ有意差はなかった.前壁中隔梗塞群では,心室中隔の動きと左室後壁の動きの間に負の相関関係を認め,残存心筋の代償性運動亢進を示唆した.心室中隔または左室後壁の運動異常を心筋梗塞群では76%,梗塞以外の虚血性心疾患群では45%認めたが,後者ではに軽度であった.心電図Q波とasynergyの部位的関係は一致しないこともあり,UCGの併用により梗塞または虚血部位をより正確に診断しうると思われた.

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