1977 年 9 巻 8 号 p. 726-733
われわれは10例の解離性大動脈瘤DeBakey顕型を経験し,7例に手術を行い,3例には保存的療法を施行した.手術はすべて下行胸部大動脈への人工血管置換を行い,急性期の3例中2例を失ったが,慢性期4例はすべて救命できた.生存例の遠隔成績は良好である.非手術例は3例で,1例は破裂で死亡,他の2例中1例は降圧療法が奏効し良好であるが,1例は降圧療法+安静にもかかわらず瘤の拡大がみられる,なお手術例のなかにも,降圧療法により急性期をきりぬけたものなどがあった.以上をもとに検討したが.降圧療法はある程度は有効であるが,治療は原則として手術を第1に考え,手術の時期はできるだけ慢性期に移行してからがよい.手術方法は姑息的手術はさけて,人工血管置換術を選ぶべきであり,手術の補助手段としては体外循環の方が安全であるが,longexterRalbypass法も症例によっては適当な方法となる.