抄録
頸動脈洞反射充進による失神発作は,中・高年者にときにみられ,潜在性の発作をもつ人が不意に外傷をうけたり,急死の原因になることがあげられている.意識消失発を繰返す49歳男性で,心電図所見から伝導障害によるAdams-Stokes発作と考えてペースメーカー植込み術を行った.ディマンド・ペースメーカーは完全に作動していたが2年6ヵ月後にふたたび失神が起き,頸動脈洞マッサージによって脈拍・血圧は不変のまま同様の発作が誘発され,この間の脳波にも異常を認めたことから頸動脈洞性失神のcerebraltypeと診断した.右頸動脈洞神経切除術を行い,失神の誘発,自然発作もなくなり順調に経過している1例を報告し,若干の文献的考察を加えた.