植物環境工学
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論文
短冊状ゴムシートとひずみゲージを用いた植物の茎周囲長変化計測センサ
仙波 浩雅菊地 毅洋安西 昭裕
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2015 年 27 巻 2 号 p. 82-90

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抄録

植物の茎に巻き付けて設置することにより茎の膨張・収縮の変化を計測できる簡易なセンサを試作し,その有用性について検討した.厚さ1 mmのゴムシートにひずみゲージを接着したダンベル状センサ試験片を製作し,引張・除荷試験によりセンサの形状やゴムのテンションがセンサ出力特性(ゴムの長さの変化率に対するセンサのひずみゲージ出力変化量の関係)に及ぼす影響を測定した.ゴムの長さ変化率に対するセンサ出力変化量の関係は,ゴムの伸長時(引張時)と回復時(除荷時)では挙動が異なりループ曲線を描いた.また,ゴムの伸び率が高いほどゴムの長さの変化率に対するセンサ出力変化量は大きくなった.ゴムの回復時においてゴムの長さや幅がセンサ出力特性に及ぼす影響を測定したところ,長さが20~50 mm(幅5 mmの場合),幅が5~10 mm(長さ40 mmの場合)でほぼ同等のセンサ出力特性を得た.ゴムの引張テンションを代表する値としてセンサ初期出力値(初期テンション)とすると,初期テンションが2000~6000 nfの範囲においては,初期テンションの増加に対しゴムの長さの減少率に対するセンサ出力減少量は2次関数的に大きくなった.同じ初期テンションの下では,ゴムの長さの減少率に対するセンサ出力減少量は,ゴム回復初期時に最も大きくなった.本センサの有用性の検証のため,カンキツの苗に本センサと従来型の茎径測長センサを取り付け7日間にわたり測定比較を行った.両者は,線形近似で相関係数0.95の高い相関を得たが,センサ特性実験結果と同様に茎の膨張時と収縮時は挙動の異なるループ曲線を描いた.茎収縮時初期および茎膨張時初期は茎径変化に対して本センサの変化が大きくなった.茎径の減少率に対するセンサ出力の関係がセンサ特性の実験値とよく一致し,本センサの有用性を確認した.

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© 2015 日本生物環境工学会
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