2020 年 32 巻 4 号 p. 191-200
植物工場における高付加価値野菜の生産手法の開発を目的として,本研究においては,植物工場環境におけるリーフレタスの内容成分に及ぼす24時間明期とNH4-N施用の組み合わせ効果に焦点を当てた.12時間明期下と比較して24時間明期下では全C含量が有意に増加し,Mnを除く無機成分含量が有意に低下した.NH4-Nの比率を高めても,全C 含量が有意に増加し,K,Ca,Mg,NaおよびMn含量が有意に低下した.24時間明期とNH4-N施用はいずれも,硝酸含量の低下と,全糖,クロロゲン酸および総ポリフェノール含量の増加において有意な影響を及ぼした.さらに,照射時間と施用窒素形態の有意な交互作用が認められ,12時間明期下でNO3-Nのみを施用した場合と比較して,明期を24時間としNH4-N比率を高めることで,新鮮重あたりの硝酸含量は1/10~1/100にまで低下した.同様に,全糖,クロロゲン酸および総ポリフェノール含量は,それぞれ2.4~5.2倍,3.8~13.4倍および1.4~2.0倍に増加した.本実験条件においては,24時間明期下でNH4-N比率を25 %~50 %として栽培することが,生育量の低下を抑えながら内容成分の向上を図るうえで最適な条件であるとみられ,本研究結果は植物工場におけるリーフレタスの高付加価値生産に寄与できる可能性があると考えられた.