日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第56回日本小腸学会学術集会
セッションID: S1-7
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シンポジウム1 治療法未確立の難治性小腸疾患に対する挑戦
小腸リンパ管拡張症に対するブデソニド内服の有用性について
*所 晋之助矢野 智則相良 裕一宮原 晶子平岡 友二小林 泰俊坂本 博次砂田 圭二郎山本 博徳
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抄録

【目的】

小腸リンパ管拡張症に対してはステロイドの全身投与を行うことがあるが, 漸減・中止により再燃し長期投与が必要になる症例も少なくない. ブデソニド(以下BUD)は初回通過効果で多くが代謝されるため, 副作用も含めて全身作用は少ないとされている. 今回BUD腸溶性顆粒充?カプセルであるゼンタコート(ゼリア新薬工業)内服が有用であった小腸リンパ管拡張症の3例を経験したので報告する.

【症例】

症例1. 18歳男性で下腿浮腫と低アルブミン血症(1.1g/dl) があり, プレドニゾロン(以下PSL)内服で治療開始し改善を認めた. その後PSLを漸減し中止するも再燃したため,BUD 9mg内服を開始した. 症状は改善し, 現在3mgまで減量している.

症例2. 21歳男性で水様便と低アルブミン血症(1.6g/dl) が増悪したため,PSL内服を開始した. その後漸減すると再燃したため,PSL 5mg内服を継続していた.PSL内服からBUD 3mg内服に変更したところ再燃はみられず, 現在3mg隔日投与まで減量している. 症例3. 38歳女性で下腿浮腫と下痢と低アルブミン血症(1.1g/dl) があり,PSL内服を開始した. 自己免疫性溶血性貧血もあるため慎重にPSLを減量したが,PSL10mgの継続内服が必要であった.BUD 3mg内服の併用を開始したところPSL減量が可能となり, 現在PSL4mgまで減量しているが症状の再燃は認めていない.

【結論】

ゼンタコートは下部回腸から右側大腸にかけてのクローン病に有効とされているが、空腸病変を主とする小腸リンパ管拡張症においても有用である可能性がある.

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© 2018 本論文著者
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