日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第56回日本小腸学会学術集会
セッションID: S3-3
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シンポジウム3 小腸腫瘍・ポリポーシス診療の現状と未来
クロンカイト・カナダ症候群における小腸病変
*渡辺 知佳子高本 俊介冨田 謙吾穂苅 量太三浦 総一郎
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抄録

【目的】

クロンカイト・カナダ症候群(CCS) における小腸病変の実態、臨床経過との関連について解析した。

【方法】

本邦におけるCCS210症例を対象にしたアンケート調査の結果を解析した。

【結果】

蛋白漏出シンチグラフィが行われた56例のうち42例が有所見で、そのうち小腸からの漏出は6例でみられた。小腸画像検査としてレントゲンまたは内視鏡検査が120例でおこなわれ、空腸・回腸にそれぞれ50.4%・74.1%に病変をみとめた。胃や大腸に比べると比較的小型のポリープが散在する傾向がみられた。レントゲン検査だけでなく、内視鏡検査(カプセル内視鏡または小腸内視鏡)を併用するほうが、有病変率は高かった(74.2%、86.9%)。小腸ポリープを先進とする腸重積・小腸癌の合併はなかった。治療はステロイド治療が多くの症例で行われ、反応は良好であったが、一部に難渋例があり、長期的に癌の合併が高率にみられた。小腸のポリープが大きい、または密度が高い場合は、ステロイド治療により内視鏡的に回復するまでに時間がかかる傾向があった。

【結論】

CCS診断時に、小腸もふくむ全消化管を内視鏡で評価することは、臨床経過の予測に有用である可能性がある。また、消化管・皮膚の症状の改善だけでなく、上部および下部内視鏡検査で治療効果を判定してから、ステロイドの中止あるいは維持量へ減量することが、長期的臨床経過の改善につながると考えられた。

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© 2018 本論文著者
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