【症例1】
10歳女児.9歳時に学校検診で貧血を指摘され近医を受診したところ,便潜血検査陽性であった.上部・下部消化管内視鏡検査では出血源を認めなかったため,小腸精査目的で紹介となった.カプセル内視鏡,ダブルバルーン内視鏡(DBE)で上部空腸に類円形で暗赤色の隆起性病変を認め,全身に多発する血管腫を伴うことからblue rubber bleb nevus症候群と診断した.小腸血管腫に対しDBE下にポリドカノール局注療法を施行したところ,1ヶ月後には病変の退縮が確認され,その後現在まで貧血の進行なく経過している.
【症例2】
18歳男性.精神発達遅滞,巨頭症,性器の色素沈着あり,PTEN遺伝子の欠失からBannayan-Riley-Ruvalcaba症候群と診断され小児科で経過観察中であった.明らかな消化器症状はなかったが,母親が肉眼的血便に気づき当科を紹介受診した.上部内視鏡検査では食道にglycogenic acanthosis,胃に過誤腫性ポリポーシスがみられた.DBEでは空腸に周囲粘膜と同色調の無茎性,ないし有茎性隆起性病変が散在していた.大腸内視鏡検査でも全大腸に隆起が散在し,7個の病変を内視鏡的粘膜切除術を施行したところ,1病変は腺腫,他は過誤腫であった.
【結語】
小児の消化管ポリポーシスや全身性疾患においても,小腸内視鏡検査は小腸病変の診断・治療に有用と考えられた.