日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第57回日本小腸学会学術集会
セッションID: S4-8
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主題セッション4 薬剤起因性小腸傷害の現況と対策
当科における免疫チェックポイント阻害薬関連腸炎の小腸病変の検討
*梁井 俊一川崎 啓祐中村 昌太郎石田 和之菅井 有松本 主之
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抄録

【目的】 免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)であるニボルマブやイピリムマブの使用の際には免疫関連有害事象(immune-related adverse effect:irAE)に注意が必要である。最近、irAEの大腸炎の報告例は集積されているが、小腸病変については不明な点が多い。そこで、ICIによる小腸障害について明らかにすることを目的とした。

【方法】 2015年12月から2019年2月までにICIを使用した患者のうち、irAEの大腸炎と診断した8例(男性5例、女性3例:平均年齢60歳)を対象とし、小腸病変の有無について遡及的に検討を行った。

【成績】 基礎疾患の内訳は悪性黒色腫4例、非小細胞肺癌1例、腎細胞癌3例であった。8例中1例は悪性腫瘍に先行した潰瘍性大腸炎の治療中であった。全例で下痢を認め、4例で血便を認めた。大腸炎を発症した際に施行した腹部CTで小腸壁肥厚の認められた症例は8例中4例であった。カプセル内視鏡は1例で施行され、全小腸にびらんを認めた。大腸内視鏡検査で終末回腸を観察できた症例は8例中5例で、そのうち3例で粘膜病変を認めた。3例の内訳は顆粒状粘膜1例、びらん2例であった。病理学的には3例中2例でアポトーシスが認められた。

【結論】 ICIの使用で小腸にも粘膜傷害が生じる。

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© 2019 本論文著者
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