食品衛生学雑誌
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惣菜中のセレウス菌芽胞の制御における加熱処理の効果
田中 啓子本井 博文工藤 由起子
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2005 年 46 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
豆腐類を用いた食品において,セレウス菌による食中毒発生の防止に有効な手法を開発するため,混入したセレウス菌芽胞に対する間歇殺菌法を応用した加熱処理を検討した.食品から分離したセレウス菌株の芽胞では,食品を70℃ 20分間,75℃ 5分間,100℃ 2分間,電子レンジにて10秒間加熱して25℃ 2時間静置後にそれぞれ同一条件で再加熱することによって生残する芽胞数が100分の1以下に減少した.また,食中毒事例由来株の芽胞では,70℃ 20分間加熱後に35℃ 1.5~2時間静置,75℃ 10分間加熱後に35℃ 1.5~2時間静置,100℃ 2分間加熱後に25℃ 4時間静置後に再加熱することによって生残する芽胞数が100分の1以下に減少した.さらに,70℃ 20分加熱前後の食品の香気成分のガスクロマトグラフ質量分析において大差が認められなかった.以上より,これらの加熱処理は食品の品質への影響が少ないセレウス菌芽胞を減少させる手段として利用可能であると考えられる.
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© 2005 公益社団法人 日本食品衛生学会
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