食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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46 巻, 1 号
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報文
  • 田中 啓子, 本井 博文, 工藤 由起子
    2005 年 46 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    豆腐類を用いた食品において,セレウス菌による食中毒発生の防止に有効な手法を開発するため,混入したセレウス菌芽胞に対する間歇殺菌法を応用した加熱処理を検討した.食品から分離したセレウス菌株の芽胞では,食品を70℃ 20分間,75℃ 5分間,100℃ 2分間,電子レンジにて10秒間加熱して25℃ 2時間静置後にそれぞれ同一条件で再加熱することによって生残する芽胞数が100分の1以下に減少した.また,食中毒事例由来株の芽胞では,70℃ 20分間加熱後に35℃ 1.5~2時間静置,75℃ 10分間加熱後に35℃ 1.5~2時間静置,100℃ 2分間加熱後に25℃ 4時間静置後に再加熱することによって生残する芽胞数が100分の1以下に減少した.さらに,70℃ 20分加熱前後の食品の香気成分のガスクロマトグラフ質量分析において大差が認められなかった.以上より,これらの加熱処理は食品の品質への影響が少ないセレウス菌芽胞を減少させる手段として利用可能であると考えられる.
  • 大野 浩之, 六鹿 元雄, 河村 葉子, 鈴木 昌子, 青山 大器
    2005 年 46 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    ヘッドスペース-GC/MSによるポリ塩化ビニル(PVC)およびポリ塩化ビニリデン(PVDC)製品中の塩化ビニル(VC)および塩化ビニリデン(VDC)の簡便な同時分析法を検討した.試料をN,N-ジメチルアセトアミドで膨潤させた後,90℃ で1時間加熱して試料を溶解させ,そのヘッドスペースガスをGC/MSにより分析した.分析カラムにはPLOT型キャピラリーカラムを用いた.添加回収率はVCでは90.0~112.3%,VDCでは 85.2~108.3% と良好であり,定量限界はVCが 0.01 μg/g,VDC が0.06 μg/gであった.本法をPVCおよびPVDC製品48検体に適用したところ,PVC製水道用硬質管2検体からVCが0.61および0.01 μg/g検出された.一方,食品用容器包装および玩具からはVCおよびVDCはいずれも検出されなかった.
  • 大門 由佳, 河村 葉子, 六鹿 元雄, 田村 悦臣, 棚元 憲一
    2005 年 46 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレート(PET)再生材中の残存揮発性物質について,ヘッドスペース-GC/MSにより分析を行った.その結果,物理的再生材ではエタノール,リモネンなどが微量検出されたが,多くは食品由来と考えられた.一方,超洗浄様処理や化学分解処理による再生材ではいずれの揮発性物質も検出されず,新品ペレットとほぼ同等であった.物理的再生材を用いた成形用シートでは揮発性物質は検出されず,新品を用いたものと差は見られなかった.以上のことから,PET再生材を現状の用途で使用するならば,揮発性物質に関しては食品衛生上特に問題はないと結論された.
ノート
  • 菊地 博之, 渡邉 敬浩, 笠間 菊子, 和久井 千世子, 松木 容彦, 穐山 浩, 米谷 民雄
    2005 年 46 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    GMパパイヤ(55-1)を検査対象とし,23の協力機関に共通未知試料を送付し,GUS法,および定性PCR法の2法について,外部精度管理試験を実施した.各機関から報告された試験結果の解析を行ったところ,両法ともに送付試料の内容と一致する結果が得られた.定性PCR法を用いた試験において,検出用プライマー対を用いた試験の結果,陰性検体を対象とした試験区において,予定バンド長に一致する増幅バンドが認められ,確認試験を実施したが,増幅バンドが得られず,最終判定を陰性とした事例が1機関から報告された.この事例については,他機関から報告された結果との比較,およびアンケート調査結果から,試験実施者の手技に起因したコンタミネーションを原因とする擬陽性判定であると判断された.一方,GUS法による試験区においては,すべての機関において正しく判定された.
  • 佐々木 久美子, 田形 肇, 川上 宏之, 長崎 俊夫, 根本 了, 米谷 民雄
    2005 年 46 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    イソホロン(ISP)は天然樹脂,合成樹脂,ワックス,農薬製剤,塗料および印刷インクなどの溶剤として広く使用される化学物質である.そこで,ISPによる食品汚染実態を知るために,種々の食品93試料について調査した.試料に内標準として重水素化ISPを加え,水蒸気蒸留を行ってISPを捕集し,ジクロロメタンで抽出した後,シリカゲルカラムで精製し,GC/MSで測定した.ISPは魚介類,畜肉および野菜からはほとんど検出されなかったが,米,麦,豆類およびそれらの加工品である味噌,しょう油および納豆のすべてから検出され,最高値は味噌の8.9 ng/gであった.由来を明らかにするために,食品包装材中のISPを分析したが,ISPの濃度は低く,食品汚染の原因は明らかにできなかった.
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