食品衛生学雑誌
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次亜塩素酸ナトリウム処理したL-チロシンより生成するクロロホルムの中間生成物質に関する検討
日高 利夫石井 敬子桐ヶ谷 忠司神田 宏
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2007 年 48 巻 4 号 p. 97-105

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抄録

L-チロシン(L-Tyrosine)を次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)処理して生成するクロロホルム(CHCl3)の中間生成物と考えられる物質についてLC/MSを用いて調べた.その結果,4-ヒドロキシベンジルシアニド(4-HBC)をNaClO処理して生成する物質とマススペクトルが一致した.この物質の合成方法を検討した結果,4-HBCにNaClOを反応させ溶媒抽出後,HPLCカラムスイッチング法により,分取が可能であった.この物質のNMR構造解析を行った結果,3-クロロ-4-ヒドロキシベンジルシアニド(3-C-4-HBC)と確認された.L-Tyrosineおよび4-HBCにNaClOを反応させた結果,3-C-4-HBCおよびCHCl3が生成し,3-C-4-HBCにNaClOを反応させた結果,CHCl3が生成した.したがって,3-C-4-HBCはL-Tyrosineから生成するCHCl3の中間生成物質であることが確認された.以上,L-TyrosineのNaClO処理により,4-HBCから3-C-4-HBCを経てCHCl3に至る反応機構を推定できた.

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© 2007 公益社団法人 日本食品衛生学会
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