食品衛生学雑誌
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細菌培養処理法(A3T法)による二枚貝からのノロウイルス遺伝子の検出
秋場 哲哉田中 達也永野 美由紀森 功次林 志直尾畑 浩魅千葉 隆司幾田 泰久神谷 順子仲真 晶子保坂 三継甲斐 明美
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2010 年 51 巻 5 号 p. 237-241

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抄録

RT-PCRやリアルタイムPCRなどの高感度な遺伝子検査法を用いても,食品からノロウイルス(NV)が検出される事例は非常に少ない.われわれは,食品成分由来の夾雑物が検査に与える影響に着目し,その除去方法として細菌を利用した処理方法(A3T法)を考案した.今回,実際の食品検査における同法の有用性を検証することに加え,二枚貝のNV汚染状況をより明らかにするため,市場に流通する二枚貝やNVを原因とする食中毒事件との関連が疑われた生食用カキを対象にNV検出を試みた.二枚貝111検体の検査では,A3T法では20検体(18.0%)からNVが検出されたが,厚生労働省通知による検査法でNVが検出されたのは1検体(0.9%)のみであった.また,食中毒事件関連の生食用カキ35検体を用いた検査では,A3T法により10検体がNV陽性となったが,通知法では検出されなかった.A3T法は簡易な操作を加えるだけでNV検出率の向上が図れることから,日常検査に適した手法と考えられた.

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© 2010 公益社団法人 日本食品衛生学会
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